自分の腹筋を見てみたい。
突然そう思った。

あなたは自分の腹筋を見たことがありますか？
最後に自分の腹筋を見て何年経ちますか？

俺は覚えてない。
中学高校のときは運動部でちょっと痩せてたけど、
腹筋が割れていたような記憶はない。
受験勉強でおもっきさ太ったあと、
東京の一人暮らしでちょっと痩せたけど、
軟弱文科系大学生に腹筋は似合わない。

思えば、小学校のときに描いた
タイガーマスクの絵は、
お腹に「キ」の字を入れていた。
衝撃的だったブルース・リーの肉体そして腹筋は、
東洋人の理想の筋肉。
深々とカットが入り、
6つに割れた腹筋。

なのにこの俺は一生自分の腹筋を見ないまま、
生涯を終えてしまうのであろうか。
いや、自分に腹筋があることすら証明できないではないか。

むろん、海に行ってバリバリの若いモン見て
「いいなぁ」とか思ったりはした。
30代の10年間はジムに通ってもみた。
しかして、社会人の生活は公私共に、
腹筋にとってマイナス面にしか作用しない。
「歳相応」みたいな発想（いいわけ？）も頭をよぎったのも事実だ。

そして今年この南の島に飛ばされることが決まった。
いろいろなプランが俺の頭をよぎった。
せっかくの一人暮らしだ。
なにかを成し遂げねばなるまい。
まずは近郊のサーフポイントのトリップ。

そこで問題になるのがわき腹の贅肉だ。
基本的にトランクスいっちょでしょ。
カッコ悪いじゃーん。
このことである。
ことは深刻だ。

一人暮らしなら、
食生活は自分でコントロールできる。
時間もそうだ。
仕事以外に邪魔するものはいない。
言い訳はきかないのだ。

腹筋を見るしかない。
俺の心は決まった。

そのとき俺の頭の片隅である曲が流れ出した。
"I wanna live, I wanna give.
I've been a miner for a heart of gold....
....And I'm getting old."

そう、いうまでもなくニールヤングの
「Heart of Gold - 心の旅路」だ。
そうだ、俺は遂に40年間求め続けてきた、
自分の腹筋を探し続けた旅を
実現できる最後のチャンスにたどり着いたのだ。

「僕は生きたい、僕は与えたい
僕は黄金の心を探す鉱夫だ....
.....そして僕は年老いてゆく。」

バーロー、腹筋見ないでフケてたまるか。

2003/06/01

　

第１週に続く