日本人こそ一時の勢いはないけれど、台湾だのインドネシアだののお金持ちが札びら切っている。
それに加えて、現地のワカモノ諸君も、すっかりお洒落になって、東京の銀座と渋谷と原宿合わせたような賑わいっす。
ショッピングセンターも競争厳しくて、まるごと竹下通りみたいなのもある。15年前まで長髪禁止だったこの島が、今や金髪タトゥーのニーちゃんネーちゃんがそぞろ歩く時代である。

オシャレとお化粧とオトコのことしか考えてない頭んなか空っぽのねーちゃんと、それに群がるバカなガキ。と、我が故国でも見られる日常的な光景が展開されている。
この国の将来を考えると頼もしい限りだ。
ウンコ 座りするようになったら、彼らもホンモノであろう。いや、日本のトレンドに対しても研究熱心な彼らのこと故、いまごろ密かにウンコ座りの特訓を重ねているやもしれぬ。

で、ワシのサイト見とるようなミナサマが、ブランドだのに興味を示すわきゃないわなぁ。
そんなアナタにZZさんがオススメする、取って置きのスポットがこのショッピングセンターだ。
その名は「ラッキープラザ」です。名前からしてもう胡散臭いでしょ。

名前もいいけど、場所もいいよ。大通りはさんで、○島屋さんの対面。
まわりは全部、超一流品のブティックだらけ。
なのになんだ、このウラビレかたは。
平日なんかガラガラだし、入ってるテナントもショボイのばっか。昼間っからシャッター閉めてるとこもけっこうあるし。

ここに並べられると、どんなブランド品もニセモノに見えるから不思議だ。
もちろん、日本人と見るや「ニセモノトケイアルヨ」の声をかけてくる、東南アジアの伝統的な商法を守り抜く、頑固な商人魂もこのショッピングセンターでは健在である。知的所有権だぁ？フザケンナってなもんである。
いまだに店番のねぇちゃんが、ヘーキで店の中で弁当食ってるし。いいなぁ。
そういや、こないだニュースで政府観光局が、観光客から苦情の多い悪徳商店の公表に踏み切ったんだけど、ダントツのトップがここん中の電気屋だったしな。

さて、このショッピングセンター、もし来るなら日曜の昼間に訪れることをワタクシは強く推奨したい。
あんなに空いていたのが嘘のような賑わいだ。
エスカレーター乗るのにも並ばにゃイカンほど。

そして程なくアナタは、これらのお客さんがちょっと違うことに気がつくことであろう。
この島の人口の大部分を占めるはずの中華系が殆どいない。なんとなくお肌の色が浅黒い女性ばっかである。
おまけに喋ってる言葉が英語でもなけりゃ中国語でもない。観光客も殆どいない。
ナンデ？

実は毎日曜日、このショッピングセンターは「アマさん」の巣窟と化すのである。
さて「アマ」とはなんであるか。
住み込みのメイドなんですわ。
昔っからお金持ちやガイジンは住み込みの女中を雇っていたのは、東南アジアの常である。ちょっと古いマンションだと小さめの部屋が必ずあって「アマさん部屋」だったりするのだ。
しかし、近頃は豊かになり、共働きも増えてきた中の上あたりの人たちがこのアマさんを雇う例も多いと聞く。
もちろん地元のおばさんがアマさんだったりすることもあるのだが、主流は出稼ぎのアジア人。以前はフィリピンあたりが主流だったけど、最近はお隣のインドネシアからの出稼ぎも多いらしい。
多分何千人ちゅう単位でいるはずだ。

地元の3流新聞の社会面では「とっても強欲で意地の悪い雇い主が、カワイソウなアマさんをイジメてこんなにひどい目にあわせました」っちゅうネタが、アザだらけの腕とかの写真と一緒に、定番ネタとして常に掲載されているほどである。
テニスやゴルフばっかしやって真っ黒に日に焼けた日本人の奥さんが、アマさん連れて買い物いったら、自分がアマさんと間違えられたとか、アマさんネタの奥は深い。

そんなアマさん達が週に一度のお休みである日曜日に大集合するのがここ。そしてタガログ語だのインドネシア語だので喋りまくって大変な喧騒となるのだった。

当然、お店のほうもしっかり対応だ。

食い物屋だの雑貨屋だのは大繁盛でスパイシーな香りが漂い、養鶏場のような賑やかさである。
用品屋もいかにもあの人たちが好きそうなゴテゴテ飾りのついたジーンズだのを並べているのだ。