ワタシが学生生活を送ったのはレイトセブンティー。
学生運動もとっくに終わり、キャンバスには既に能天気な雰囲気があふれ始めていた。
北海道の片田舎から東京の大学さに出てきたワタシには、サーフィンなぞ縁遠いものであった。
しかし世は「ポパイ」の創刊に始まる「シティーボーイ」の時代となり、「陸（おか）サーファー」全盛。
ファラーのパンツに、フィラのテニスシャツ着て、ムスクの香りを漂わせながら、六本木だのをウロウロすることに忙しく、カッコはそれ風（だってみんなそうだったんだもーん）だが、サーフィンなぞ一部のナンパな連中（自分も充分ナンパだったが）のやるもんと、決め付けていたのであった。
だいたいちょっと頭悪そうだよな、冬でもビーサン履いてこ汚いし。
海行くとベトベトしてイヤだから、日焼けするなら都内のプールでしょう。
え、俺は夏休みハワイに行ってついでにスターウォーズ見てくるぜ。
みたいな、世間様的にはお坊ちゃん学校に通うワタシはすっかりそんな周りの風潮に同調していたのであった。
そんなワタシも「就職ぅがきまぁってぇ、髪を切ぃってきたときぃ」(ｂｙ Ｙｕｍｉｎｇ）には、一生そのような世界に入り込むことはないだろうと思われたのであった。
そしてとうとうリーマン1年生。
みんなそうなるもんだと思いつつ、わけもわからず奴隷のような1年間を会社の中で過ごしたワタシに、上司より他の職場に一時的に応援に行けとの命令が下った。
年に1度だけクソ忙しくなるその職場は、毎年若手の社員を駆り集めて特別チームを編成し、外回りの営業を活動を行っていた。
そして、その職場にいたのがワタシを運命の道に導いた先輩Ｍ氏である。
実はＭ氏は私の大学の２コ先輩であり、水戸藩縁戚のご末裔、中学から付属に入り大学に進学、葉山から会社に通う日焼けしたお洒落なサーファーといったいでたちであった。
この人の話を書き出すと面白すぎてキリがないので、ここではやめておく。
とにかく、このＭ先輩と１ヶ月間、ほとんど糸の切れた凧状態。
社用車乗り回して，遊びまわってる合間にチョロッと仕事をするという２ヶ月間が続いた。
そして、ＧＷが近づいたある日、Ｍ先輩がイキナリこう切り出したのである。
「ねぇ、一緒にウィンド習ってみない？」
「え？、ウィンドって、あのウィンドサーフィンですか？」
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