2日目はコーランじゃなくて風の音で目が覚めた。
朝から結構な吹き方だ。やれやれ。
今朝は７時にアレフが迎えにくることになっているんだが、あんまり風が強そうならパスしちゃおうかななんて考えながらうとうとしていると、今度は外でさわさわと別な気配だ。

部屋の外に出てみると、なんと雨が降りだしたらしい。冷静に考えりゃ、ワシの住んでる島だってよく雨は降る。だけどなんとなく乾期のサーフトリップってことで、雨が降ることは考えていなかったのだった。
こりゃ、とりあえず午前中はパスかな、まぁ、とりあえず支度だけはしとくけど。

アメアメフレフレ、裸足なとこがよいですな。

と、７時に（相変わらず時間はキッチリしてる）アレフ登場。小やみにもなってるし、なんとなく村まではいってみるかっちゅう気になる。風がひどけりゃやめりゃいいし。
「雨の後は暖かくなる」ってアレフも言ってるしな。
それにしても今回、アレフはキッチリつきあってくれるなぁ。と妙に関心。

昨日はこなかったブディを途中で拾って、村に到着。
雨はとりあえず止んでるけど、沖の方からまた雨雲がきそうな気配。
「じゃ、今日は後はブディが」
やっぱなぁ。

ボートが出発したところで、沖からきた雨雲が近づき、雨脚が強くなってきた。
ボートのスピードもあって目を開けてられんほどの降りとなる。船頭はいつもの波乗りもする連中じゃなくて、ホンマモンの漁師である。雨合羽着て完全武装だ。確かにけっこう寒いし、仕事とはいえ、ブディもさぞかし迷惑なことであろう。
ワシもできればパスしたかったかもしれんもんなぁ。

ポイントについてみると、日本人を中心に１０名以上のサーファーがもう入っていた。たぶん雨降る前に出たんだな。ご苦労さんである。
ワシらがポイントに着いたあたりで、雨は小やみになり、風上の空も明るくなり始める。

風はゆるめのオンショアでサイズは方から頭くらいか。
とりあえず、気は進まないけどボートに乗ってても 寒いだけなんで、パドルイン。

昨日でちょっと慣れたせいか、胸肩の小さめのを２〜３本。けっこう調子いいかも。
じゃ、アウトで待ちますかとショートの皆様より１０〜１５メートル沖で波待ち。ちょっとイン側にいるローカルのショートは、こないだもでかいの狙いでアウトにいたやつだ。

そのうちに雨が止んで、風も収まる。薄日も差してきた。
面が整ってきたと同時に、頭くらいのサイズのやつが入り始めた。セットの最初のほうのはローカルに乗らせて、自分は次、みたいなので２本。
クローズ気味の最初のセクション抜けるコツがようやくわかってきたらしく、ぎりぎりでセクション抜けた後は、ファンウェイブで遊ばせてもらうのだった。

けっこう美味しいのを続けて２本食ったんで、インサイドのショートの人たちにも乗っていただかんとマズイだろうし、ちょっとアウトの脇の方でお休みすっか、とお休みモードに入ろうとしたところで、沖の海面が盛り上がり、そいつが入ってきた。

ちょっとこれでかいっかもしれんすよ。
今までより更にアウトだったお休みポイントから、もういっこアウトにパドル。最初の一本のピークを何とかギリギリで越える。
超えた次の瞬間、波の裏側でフリーフォール。ははは、これこれ、この感覚だよね。

もう１本やり過ごして、息を整えているとその次のが入ってきた。これもでかいっす。
いっちゃいますか、とインサイドに方向変えてパドル開始。インサイドの連中は食らっているのか誰も見えない。

さっきまでより１枚上の高さにぐいっと持ち上げられて、次の瞬間ボトムに叩きつけられそうになるのを必死にレールをかませてこらえる。
左足に重心かけて、頭以上のウォールを横っぱしりに突っ走り、何とか最初のセクションを抜けようとするワシの背中でゴォッと ブレイクする音が聞こえる。

なんとか、抜けだしたところでアップスンダウンしたところで若干波がタルくなり、ちょっとカットバック。も一回トップに戻ってから加速してボトムターン。ひょっとしてまともなボトムターンは今回最初かも。
そのまま、板をしごきながら最後のクローズアウトセクションでぎりぎりのタイミングでプルアウト。

ふぁぁぁぁっ。
なんか波乗りしたぞぉっ、って感じっす。やっと前回のリベンジできたかもしれん。
アウトに向かってパドルを始めると、フラットな場所に留めてあったはずのボートが、続くセットのうねりでひっくり返りそうに揺れておる。
こんなの前回もなかったし。

元のポジションに戻っても、しばらくはボーっとしてなんもできん状態。
この余韻楽しみたいから、もうあがっちゃおうかな、なんて考えたりする。ショートも全員アウト側までパドルしてきた。人数減ったとこみると、くらってそのまま上がったやつもいるみたい。

どうやら潮の変わり目か、風の変わり目か、風も弱いオンに変わり、セットはもう入ってこない。とはいえ、入ってきたセットはついつい意地汚く乗ってしまい、この後も肩から頭くらいので遊んでしまう。
おかげで、10時に出発するはずのナオキ君は見送れず。まぁ、またどっかで会いましょうってことで。

村に着くとアレフが迎えてくれた。
船頭のオヤジから聞いたとかで「一番でかいの乗ったらしいね」。
ふふふ、いやぁそうでもございませんよぉ、わははは、もっと言ってぇ。

それにしても、波のいいときに限って写真はないのである。

昼飯は近所のレストラン？でベジタブルチキンヌードルスープっちゅうのを頼んだ。
これがマズイ。マズイちゅうか、要するに普通のインスタントラーメンに鶏のかけらと野菜をぶち込んだだけ。こんなんで金取っていいのかコラ、といいたくなる。

バリとかでもそうだけど、元々「麺」というものがなかったんじゃないのかと思わずにいられない。
たぶん中華料理屋にでも行けば、それなりなのかもしれんが、現地飯として出てくる「ヌードル」はほとんどインスタント麺である。

頼まなきゃいいんだけどね。

朝の余韻を引きずりつつ、午後もいつものポイントへ。もうほかのポイント行かなくてもいい。やっと感じつかんだから、ここで遊びたいっす。

朝雨が降ったまま、空は曇ったまま。そのせいか、風は弱めのオンショアである。

これならここのポイントはオッケーでしょ。
サイズは肩から頭くらい。

朝乗ったのは
もっとでかかったんだー！
ZZ

しかして人も２０名近く。
波も速くてなかなか抜けられん。 午前乗ったようなセットも入ってこないようだ。
それでもしぶとくアウトで波待ちしてると、朝もいたでかいの狙いのローカルが寄ってきて、「朝乗ったのはよかったな」みたいなことを言ってくれる。こういうお世辞は素直に喜ぶべきであろう。

結局でかいのはあきらめ、４〜５本乗ったところで、白人どもがギャーギャーうるさいのでシラケてあがる。楽しいのはわかるけど、ウルセーんだよおめーら。

こんな感じですぐつぶされる。
ショルダーにいればいいんでしょうが。
ZZ

夜は例によってファミリーカフェ。

アレフが明日の夜は自分の家で飯を食おうと誘ってくれた。昨日の晩飯で食ったローカルチキンに納得がいかなかったらしい。そういや、妙に堅かったけど、地鶏だからなぁ、こんなモンなんだろくらいにしか思ってなかったのだった。
アレフ曰く、あれは「年寄りの鶏」だと。
もっと旨いの仕入れて、料理自慢の奥さんに作ってもらうそうだ。ありがたや。

今夜はいい夢見れそうざんす。

おやすみなさーい。

episode 3に続く