マジですか、この急斜でこの堅さなわけですか。
とりあえず、そぉろりとトネ君のいるところまでトラバースする。
ま、かなりのハードパックだけど一応エッジは引っかかりますな。
調子に乗ってスピード出さなきゃなんとかなるでしょ。

ここで、前回に味をしめたワタクシはトネ君にカメラを手渡す。
「オッケーですよ」
と、わざわざちょっと下の撮影ポジションまで降りてくれる気遣いざんす。
辛いっすね、ガイドも。

「どっちから先でもいいですよー」
とトネ君。
「お先どうぞ」
と小林さん。
いいんすか。
マジいいんすか。

ガリガリだろうが、ゴリゴリだろうが、ノートラックならぜしとも先にドロップインしたい浅ましさは幾つになっても変わらないのだ。
そーゆー欲がなくなっちゃった時、ワタシのスノーボードスタイルはぜんぜん違ったものになるであろう、なんてな。

ま、とにかくイクでしょ。

とりあえず最初の２ターンくらいはラインをイメージするもんの、その先はまったく見えない。
あとは自分の感覚に頼るしかないのだ。
ここが誰のトラックもついてないバックカントリー、しかも自分にとってのファーストディセントの醍醐味なのだ。

ふぅっと軽く深呼吸して、トウサイドのエッジを緩め、ノーズをフォールラインに 向ける。
ひょぉっ、やっぱトラバースとじゃ斜面の跳ね返しがぜんぜん違うっす。

sequence
rider : zz
photo : tonegawa

やっぱり固めだがさっきより食いつくレギュラー面でターンしたあと、目に入ったグーフィー面にある、日陰の時間が長そうなあたりでバックサイドを 当て込む。

ムキッーッ、これだぁっ！

ここでそのまま突っ込みたいのはヤマヤマなのだが、とりあえず見えるあたりまでにしときましょう、とのお言葉に従い、トウサイドのままでいったん安全そうな ストップ。
上から自分がヒットしたスラフがバラバラ流れてくる。

よっしゃー、大体わかりました。
こっから先がタノシミだ。

無線で止まった事を伝えると、すぐに小林さん、続いてトネ君がいい感じで降りてくる。

rider : Kobayashi
photo : tonegawa

トネ君はレギュラーサイドのちょっと降りたあたりでストップ。

skier : tonegawa / photo : zz

ニヤニヤしてるワシラに向けてファインダーを覗いている。

「次は一気に沢の出会いまで行っちゃっていいですよ」
とトネ君。

いいんすね、ワシ先に行っちゃって、と小林さんに聞く。
ひょっとして、「イカセロ」と聞こえてたかもしれん。
目が血走ってたかもしれん。

ヒールサイドはやっぱし固めだが、
高度が下がるにしたがって硬度も下がる
でしょ、なんて。
こっから先は、DPTが行きたいところにお任せしよう。

1

ワハハ気持ちええぞぉっ。
（ちなみに上画像の次のヒールターンのことです）

沢のボトムでもう１ターンし、出会いのちょっと下の安全そうなポイントでストッ プ。
「イェェェーッ！」
自分のラインをチェックしてもう一回、
「ウォォォォォッ！」
くぅぅっ、脳味噌とろけるぅっ。

そして、ハッとまわりを見渡して再度
「グォォォォォッ！」
なんか我ながら、やたらうるさいのだが、叫ばずにはいられない。