記憶が香りと結びついてるって事はあるもので、ワシの場合嗅覚がそんなによくない事もあってそんなには多くないんだけど、このアルバムの場合鼻のあたりにムズムズと香りが漂ってくるような。

なんの香りかというと「コパトーン」の香り。
あの安っぽい、なんの香りとも言えないような化学的な香料の香り。ただしそれはまさしく「夏」の香りだったりするんだな。

日焼けオイルだのローションだのっていうと、当然ココナッツの香りだと思うんだけど、70年代後半にはソニープラザに行っても、アメリカンファーマシーに行ってもまだ売ってなくて、ハワイ帰りのありがたーいお土産だったりした頃です。

さて、当時は第２次サーフィンブームの頃で、おかっぱ頭でフレンチジーンズ履いて真っ黒に日焼けした兄ちゃんが六本木だの渋谷だのを闊歩しておったものだ。そうでなくても、テニスブームの真っ最中でもあったわけで、ワシも日焼けする方がカッコイイ事には気がついており、アパートのベランダで日焼けに勤（いそ）しんだものである。
そんなときにかけたのが決まってこのアルバムだったり、セシカポのファーストだったりしたのね。そして、自動的にあの香りとこのアルバムが結びついちゃう。

このアルバムはもちろんサーフムービーの"Many Classic Moments"のサントラ盤なワケですが、当時この映画（っていうかサーフムービー）を見る機会って少なくて、実はワシもつい最近再発売されたDVDで見たんですわ。
正直最近のと比べると進行とかかったるいし、もちろんアクションそれ自体もたいしたことない。
でも、オープニングの「プローン」ショーン・トムソンのチューブライディングは永遠だし、この映画の主役ともいえるバテンスのホットドッギングスタイル、そこに流れるソウル・スピリッツは今より熱くて純粋に思えたりする。ちなみに二人とも今でも現役バリバリの体型保ってますね。特にバテンスは相変わらずの悪ガキスタイルだ。

決してバーチカルでもなけりゃ、エアーはもちろん、派手なスライドをするわけでもない。だけどフルレイルのボトムターンとリップをえぐるトップターンはまさにクラシック。ワシはこの頃のシングルフィンショートボードの滑りをやりたいのかな、なんて思ったりする。

で、カラパナですが当時のサーフミュージックはこの人達とパブロ・クルーズを抜きに語れませんな。
フュージョンとウェストコーストロックをミックスした音は、そりゃ今聞くと古くさいかもしれんけど、なぁにひょっとするとまた流行ったり、サンプリングされてリバイバルしたりするんじゃないの。それくらいの普遍性はあるような気がするんだが。