翌朝は前日よりさらに30分早く6時にピックアップ。
あっという間（３日間じゃしょうがない）に最終日なのだ。
今日もチャングーだそうで、もう文句は言いません。人が少なくて、昨日みたいの乗せてくれるなら、どこでもついてきます。

出発する段になって、ギリギリでウンコをメイク。
昨日のワロンの便所の汚さを思い出すと、これは正解である。こいつは朝から段取りいいぞ。

クタの辺は昨日よりワンサイズ落ちてるようだ。
今朝も寡黙な運転席のA君である（やっぱし低血圧だな）。
到着したチャングーは、やはり昨日よりサイズは落ちている。
でも油流したみたいな静かな沖で、綺麗な３角波が割れているのであった。

既に沖には４名ほどのサーファーがいる。
パドルアウトして近づいてみると、これが４人ともフィッシャーマンサーファー。
ん？何それ？と思うでしょ。
俺も最初はこいつらがナニやってるのか判らなかった。

ボードの胸のところに網（多分小さめの投網？）を乗っけているのだ、こいつらは。
そんで、網を仕掛けて魚をとるつもりらしいんだが、波が入ると網手放して乗ってっちゃう。
まぁ、そんなに上手くはないし、板なんか真っ二つなのをつなげたようなボロボロなんだが、コレが楽しそうなんだ。
ニコニコしながら、戻ってきては網を纏めてるんだけど、途中でまたもや波が入って中断。みたいな。

一人なんかは刺網の小さいのみたいなのをパドルしながら設置しておるし。
まぁ、どっちにしても海面に浮いて邪魔になるようなのじゃないし、全然問題なし。
ウキ替りに使ってるペットボトルが目印代わりになっていいかも。
それどころか、ひょっとしてそれって究極のライフスタイルなんじゃねぇの、なんて思ってしまいました。
結局魚が獲れたところは見なかったけどね。

さて、波のほうだが、浜から見たとおり昨日以上にオイリーな面。
東の空が曇っているせいか、海面も黒っぽく、まさにオイリー。
サイズは落ちているけど、形がいいせいかA君も一緒に入ってインサイドのレフトを狙っている。

まず、レフトで1本。腰〜腹くらいだけど綺麗な面で100メートルほどライド。
アサイチとしては調子いい。
そして次はライトの肩くらいのを狙う。

パドルを始めようと岸を向いた瞬間、朝日が雲の間から差し込んで眩しい。
今まで入ったポイントのほとんどは朝日が海から上がってきたんだけど、ここは陸のほうから上がってくるのだった。
すぅっとスムーズにテイクオフしたあと、速めにブレイクするセクション抜けてトップにあがり、ボトムターンに入ろうとする。
すると自分の足元から、つるつるのフェイス、そしてボトムを伝って雲から覗いてる太陽まで、まっすぐに海面を光の筋が続いてるのが見えた。
おもわず重心を少し後ろ足にずらし、ボトムに向かっていたノーズの向きを変え、フェイスにレイルをセット。
そのまま、ボードをトリムしながら光に向かって進んでゆく。
光に向かって吸い込まれてゆくような不思議な感じで、波のパワーがなくなるセクションまでそのまま乗り継いでしまう。

くぅぅぅぅぅぅっ。
こりゃタマらぁぁぁん。
プルアウトした後もしばし呆然。
鎌倉沖を夕日に向かってウィンドでクルージングしてるときとも、まったく音のない立山のピークからドロップしたときとも、ぜんぜん違う感動っす。
確かに俺はなにかとシンクロした、と思えた瞬間であった。

正直言ってきのこ頭となった俺に旅の後半の記憶はほとんどない。
日本人のサーファー連中が「○○子がマッシュ食いすぎて病院に運ばれた
らしい」なんて話してるのを聞いてちょっと不安になったりはしていた。

たしかその辺で引っ掛けられたガイドに、キンタマーニたらいう高原に連れてかれたり、あとから思えば帰りに寄ったのはウブドゥだったんだろうな、とか。夜にはバロンダンスを見にいったけど居眠りこいて殆ど見てないとか、そんな断片的な記憶だけ。

まだ雨季が明けきらないためか、クタの海は正直あまりいい印象がない。
海は濁っていたし、そして波がブレイクしていた印象も、またなかった。